ドラッカー学習事業 第2回 経営者の条件 第3章・第4章
2006年05月10日
第1部上田先生講演
テーマ:"ドラッカー経営思想の真髄 - 気高きもの、文明の担い手としての経営 -"
ドラッカー自身の問題意識というのはどこから、どのようにして生まれたのか?というくだりで話が始まりました。
当時のドラッカーを取り巻く環境、文明の崩壊、社会情勢変化など様々な経験を通して培われていったドラッカー思想の様子を、当時のドラッカーの職業(ドイツでの新聞記者経験、コンサルタントとしてIBMやGMに助言を与えていたエピソードなど)、当時ドラッカーが何を見、何を考えていたのかなど、上田先生ならではの生きたドラッカーの体験を交えてお話いただきました。
又時代の移り変わりに話が及び、プレモダンからモダン(近代合理主義)そして、1957年ドラッカーがモダンの終わりを告げ、ポストモダンの到来に話が進みました。
ポストモダンの中での企業が成長する方法論についても話がされ、
- すべてを命あるものとしてみなさい。(部分最適の和は全体最適には必ずしもならない。)
- すでにわかったものを使う。
- 基本と原則を補助線として使う。
- 欠けたものを探す。(これがあったらうまくいくというもの、例えとして、10分散髪、DHCなど
- 自らを陳腐化させる。
- 仕掛けを作る(成功する会議は成功を話題にし、成功から学ぶ)
- モダンの手法を使う。
という7つの方法論が紹介されました。
又講義終盤では、ドラッカーが『日本人は全体を見る能力に長けている』と考えていたことや、源氏物語を『知覚の華』と称して日本を非常に愛していた様子が紹介され講義が締めくくられた。
(無断転載禁止)
第二部:テーマ「経営者の条件」3章、4章
3グループによる討議
(グループ1)
第1グループでは主に貢献についての討議が行われた。各会員、会社経営を通してどんな形で社会に貢献するか、したいのかを発表した。この本を読んで真剣に社会貢献と会社の関係を考えてみようと思いました。(黒須)
顧客のニーズにこたえられる会社作りを目指す。(丹)
社会が豊かになるために、共立機械という会社を使って事業を行っている。(村上)
など様々な意見が交わされた。
また、松永氏が抱える工場長の入れ替え問題・・体力的な限界を感じている工場長をスムーズに次の工場長へバトンタッチさせたいが、本人のプライドを傷つけずに交代する方法は無いか?に話が移り、上田先生からの解決方法として、人事は人を尊敬して見る。人を人として扱う。尊敬して扱う気持ちを忘れてはならない。とお話があった。
又、英語のOWE(オウ)は日本語の負うと同じ意味の言葉で、借りがある-リーダーたるもの大事な人間を預かって事業をさせてもらっている。そんな気持ちを忘れてはならない。と最後に付け加えられた。
(グループ2)
105ページ "特定の人を好んだり、気に入ること"について
- 反対意見を聞き入れる為に距離を置いた方が良いのでは
- 近づき過ぎると注意出来なくなってしまうのではないか
- 距離を置いていても解り合えるような関係を築いた方がよいのでは
- 近づき過ぎて一緒に従業員の批判などをしてしまうと良くない
- この本は個人的な好き嫌いではなく、ビジネスとしての距離をもって接しろと言っているのでは
92ページ "会議に成果をあげさせよ"について
- なんの為に会議をやるのかを知らせた方が良い
- 会議では意見を発言しづらいので、個々に意見を聞いた方が良いのでは
- 会議の前に会議の議題を配布して、意見を考えておいてもらっている
- 会議で発言すると責任を負わなくてはならないなどで、発言しづらいと思うのでシートを配布して記入してもらっては
- 意見を求める会議とは別に、一方的な会議も必要では
- 会議で発言する事により責任感をもって仕事をしてもらえるのでは
(グループ3)
今回の講演で、「全体最適は部分最適の和ではない」という話が印象に残った。
このテーマについて自社におきかえると以下の意見がでた。
- 自分はこれまでは、会社の中の部署や課、グループを毎にそこが一番になるように分けて考えていて全体を考えるという意識が低かったと反省した。
- 自社でも営業所毎の成績を意識して会社全体の利益を考えるようにするというのが直面している課題である。
- 全体最適の全体をどこまで拡げて考えられるか、会社を超えた全体とは自社でつくったものが顧客に届くまでを全体をすれば良いのではないか。
それが経営者としての器だと思うし、視野を拡げなさいということではないか。
また「貢献」という言葉を「かっこつける」という言葉ではなくて自社の存在意義に関係してくるのではないかということだと感じるようになってきた。
「強みを生かせ」について、弱みを克服する努力をさせるのは無駄なのかともとれ、迷路に入ってしまったという意見について以下のアドバイスを頂いた。
弱みを意味のないものにしなさい。1つや2つは良い部分があるので普段からそこを頭にいれておくということで良いのではないか。
そもそも社長には従業員の人間改造する権利はない。
ただ自分の気持ちでどうとでもなる問題は弱みではない!!ということを聞いて皆、ホッとした様子でした。
営業に向いていそうだが、サボリ癖があるのが従業員に対してどうすればよいか?という質問に対し、以下のアドバイスを頂いた。
従業員さんにその権限と責任を十分に理解してもらって今後について話しをしたらどうか。
知らない人とあってちゃんと話をできるというのは凄い能力です。それが苦手な人にそれをやれというのは無理難しい。